J-Stage Navi 制作通信 4

【LiveUpCapsules『スパイに口紅』関係者の皆様へ J-Stage Navi制作通信  2017.1.10】

むらたんが事務所やってくる。
企画書を書き始めている。
 
企画書は宣伝のために必要なものだが、出演交渉の際やスポンサー探しの際にも必要なもの。そして、最近は主催者や作家の立場である自分たち自身の為にも良いものであると、色々な人に書くことを勧めている。
それは公演を打ち続けていると、自分たちの目的を見失っていることや、集団内での共通認識を持ち得ていないことに気づくことができたりするからだ。また、描こうしている作品を他者に見せる為に大まかなあらすじを書くと作家の頭の中は整理されるからだ。
「企画書は、自画自賛です」、企画書の書き方講座で私ははじめにまずこう言う。これは、もともと自信を持って書くべきということを言いたいわけだが、裏を返すと、企画書が面白くなくて作品が面白いわけがないとも言える。
例えば、2時間あまりの作品のあらすじをA4用紙1枚にまとめる、それが面白くなければ、2時間の作品が面白いわけがない。
 
さて、話しが企画書の意義の説明になってしまったが、むらたんの企画書の話しである。ここ数回の公演で、むらたんは公演が動き出す前に企画書を書き、出演交渉の際にも使っている。そこで、その企画書の中で私が読みたい(知りたい)のは、作品の主軸を何にしたいか、である。作品の題材は充分に興味の沸くものであるが、作品にする時、何を主軸にして書くかで、作品がうまく転がるかどうかが決まる。
あらすじを読ませてもらう。ふーむ。「これだと話しが転がっていかないよ」。黙るむらたん。
そう、今日の打ち合わせのために、むらたんはあらすじの第2稿を書いてきたのだが、私の心は踊らない。
むらたんが、どういう話にしたいのか、そして何故私の心が踊らないかなど話しをする。見えてくるのは、今ちょうどむらたんが悩んでいるということに過ぎない。むらたんが心惹かれたことが、主軸にはなりにくいことがわかってくる。そんな時はサッサとそこから離れ、別の主軸を見つければイイ。考えたことは、無駄ではない。現にこの時考えた主軸は、作品の山場で使われている。
折角考えたことを手離すというのは、勇気のいることだけど、良いモノにするには必要なこと。だけど、この見極めは、簡単なことじゃない。「で?」とか、「それでどうするの?」とか意地悪く聞く私の問いに答えられなければ、そんなもんトットと捨てちまえ、ってことを突きつけているってことになる。次に進んで欲しいと思う愛のムチってことで、むらたんには勘弁してもらおう。
そんな会議をしたのが、出演者も、徐々に決まりつつある夏のこと。ここから、多くのことが加速して進んでいく。

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