J-Stage Navi 制作通信 3

【LiveUpCapsules『スパイに口紅』関係者の皆様へ J-Stage Navi制作通信  2017.1.5】

「日本に陸軍中野学校という諜報員(スパイ)を要請する学校が実在したそうです。日本のスパイの話しにします」
むらたんこと村田裕子さんから、次回作の構想を聞いたのが、2016年2月頃のこと。
(宮原)将護さんに悪い男をやってもらいます。
煙草スバスバ、煙もくもくの男臭い芝居にしたいんです。
むらたんの本の題材は舞台監督の吉田さんとの出会いが大きい。吉田さんの歴史に対する造形はとても深く、しかも長年の付き合いからなのだろうむらたんが「ほほぅ」と唸る史実を色々と話してくれる。そこからむらたんの猛勉強が始まるのだ。

第二次世界大戦前、日本は何に向かって突き進んでいこうとしたのか。
欧米諸国への憧れなのか、他国侵略こそが先進国の仲間入りとなると考えたのか、秘密裏に養成された諜報員(スパイ)の存在とは、如何なるものであったのか。

陸軍中野学校でおこなわれていた実地訓練の話しは、とても興味深い。
訓練内容やその方法は、たった70年ばかり前のことなのに、え?スパイのくせに?、の連続。メールや携帯がなかった時代をもう既に忘れてしまっている我々が、ファックスさえもない電話もそれほど普及していない時代を想像するのは、未来を想像するのと変わらなくなっている。

ミステリアス、ドラマティック、エキサイティング、これほど心踊る題材はないと確信したのであった。

むらたんが資料を読み漁り、様々なエピソードを話してくれる。この時点で作家の興味がこちらをワクワクさせてくれるかどうかは、とても重要。 作家の興味がマニアック過ぎたり、捉え方が片寄っていたりすると、良い本にはならない。
この段階で私が気をつけるのは、何かに寄りすぎていないかを見極めること。
そして、話してくれた数々のエピソードから、特に面白い(興味深い)と直感したことを、伝えておくこと。

作家というのはとても孤独な作業だと思う。最近、小説家(文筆業)にとっての編集者の存在が如何に重要かを改めて考えることが多く、私は劇作家にとっての編集者でありたいと思っている。

チラシのキャッチコピーだが、これはこの日に生まれたもの。この日、いつものように飲みに行き、私はその勢いで、チラシのキャッチコピーを考えていたのだった。
むらたんが当初書きたいと思ったことが、数か月後も変わらずにいることは、とても良いこと。
「書きたい」という欲求、それを具体化する時にズレがないのだから。

LiveUpCapsules 『スパイに口紅』
大日本帝国時代。
国に秘密裏に鍛え上げられた諜報員たちがいた。
メールも携帯も、ファックスさえも無い時代、彼らの諜報活動は如何なるものであったのか。
そして命を賭した先に或るは、他国への侵略か、祖国の滅亡か。
生き残るのは、誰だ。

僅かに残された記録から着想を得た、壮大なるスパイ・フィクション、2017.01.20 開幕!

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